塗装といっても、ペンキで色をペタペタ塗るのではありません。
浜本工芸では、天然素材を守るため、素材にキズが付いたり、変形したりすることを防ぐための表面コーティングを施しています。
大事にしているのは、あくまでも木目の美しさを引き立たせること。
塗装は完璧な下地を作る「ヤニ止め」にはじまり、表面を平らにする「目止め」、塗装に厚みを持たせる「シーラ」、木目を際立たせる「ワイピング」、上品さを出すための「ツヤ消し塗装」など全10工程にも及び、中でも浜本工芸特有のこだわりがワイピング工程です。
ワイピングは、木材の導管(水分を通す役割を担う管)を埋めながら、木目を際立たせ素材感を引き出すための工程です。
繰り返しワイピングをおこなうことで、木材固有の質感を強調し、深みを持たせ、自然な風合いを表現できます。
浜本工芸が長年こだわり続けてきたナラ材の魅力を最大限に引き出し、木材に浜本工芸「らしさ」を吹き込む、魔法の工程です。
「擦り込みながら、拭き取りをする」微妙な感覚が求められるワイピングの工程は、どんなに機械化が進んでも、人の手でなければおこなえません。
塗装工程を担う職人の約4割がこの工程に携わっているほど、浜本工芸にとって重要で、手間のかかる工程ですが、その手間を惜しまない職人の家具づくりに対する熱意が美しい木目を生み出しています。
素材感を失わず美しく仕上げるために、下地用の塗料を吹き付けます。
木材の導管を埋め、表面を平滑にするための粉をふります。
下地用の塗料と目止め粉を導管に擦り込み、余分な目止め粉を拭き取ります。
2・3の作業を繰り返しおこなうことで、平滑度が増し、木目が美しく浮かび上がります。
ワイピング前
ワイピング後